抗菌薬

病院内肺炎(HAP)の治療まとめ

市中肺炎の治療に引き続き、今回は病院内肺炎についてまとめていきます。

市中肺炎の治療 市中肺炎(CAP)とは? 市中肺炎とは、病院外で日常生活をしていた人、もしくは入院後48時間以内に発症した肺炎のことで、 ...

病院肺炎(HAP)とは?

病院内肺炎は入院後48時間以降に発症した、入院患者に起こる肺炎のこと。

院内肺炎では、MRSA、緑膿菌、アシネトバクター、エンテロバクター、などの耐性菌を考慮する必要があります。

ただし、なんでもかんでも広域スペクトルでは、耐性菌は増えていく一方、、、

AMRの観点からも、広域抗菌薬が必要かどうかの見極めが重要です。

病院内肺炎の重症度

市中肺炎に引き続き、病院内肺炎においても、重症度が重要です。

「成人肺炎ガイドライン2017」では、HAPの重症度のスコアリングにI-ROAD分類が推奨されています。

I-ROAD分類では、生命予後因子を決めるI-ROAD5項目と、重症度規定因子の2項目で、軽症群(A群)、中等症群(B群)、重症群(C群)の3グループに分けられます。

I-ROADで3項目以上該当した場合、重症群(C群)に、2項目以下の場合は軽症or中等症に分類されます。

さらに、I-ROADの該当が2項目以下の場合、重症度規定因子の2項目、どちらか1つでも該当すれば、中等症に分類されます。

重症度規定因子のどちらにも該当しなければ、軽症群に分類されます。

抗菌薬選択

先ほどの重症度分類をもとに、それぞれのエンピリックな抗菌薬の処方例を示します。

軽症群(A群)

基礎疾患がなく、軽症なA群では、起炎菌として肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラクセラ・カタラーリスなどを考慮し、セフトリアキソン(CTRX)や、ユナシン(ABPC/SBT)をファーストチョイスとしてエンピリックに開始。

耐性菌が検出されれば、エスカレーションを考慮する。

中等症群(B群)

中等症では、A 群の起炎菌に加えて初期治療から耐性菌も考慮します。

処方例として、タゾピペ(TAZ/PIPC)、メロペネム(MEPM)、セフェピム(CFPM)などがあげれれます。

グラム染色で、大量にグラム陽性球菌が見える場合、MRSAを考慮してバンコマイシン、リネゾリドなどのこう抗MRSA薬を初期から併用することが推奨されています。

重症群(C群)

重症群では、B群に加え、ゲンタマイシンや、レボフロキサシンを感受性試験の結果がわかるまで併用することが推奨されています。

まとめ

I-ROADを用いたエンピリック治療の流れをまとめてみました。

あくまで経験的治療なので、患者さん個々の病態を把握しつつ、デスカレーションや調整を行うのが大切ですね。

  • 病院内肺炎は入院後48時間以降に発症した肺炎
  • 重症度分類にはI-ROADが推奨されている
  • 軽症(A)、中等症(B)、重症(C)の3群に分類される
  • A群は市中肺炎の起炎菌を想定
  • B群は緑膿菌も考慮する
  • C群はBに加えて抗緑膿菌作用のあるアミノグリコシド、ニューキノロンを併用する
  • グラム染色で大量のGPCが見られたらバンコマイシン、リネゾリドを併用する