緩和ケア

ヒドロモルフォンとは?

比較的新しい種類の医療用麻薬(オピオイド)であるヒドロモルフォン。

どんなオピオイドで、どんな使い方をするのでしょうか。

分類

ヒドロモルフォンは「WHO方式がん疼痛治療法の鎮痛薬リスト」に記載されているオピオイド薬です。

WHO方式がん疼痛治療法の鎮痛薬リストは以下の通りです。

分類薬剤
非オピオイド鎮痛薬アスピリン
アセトアミノフェン
イブプロフェン
ジクロフェナク
インドメタシン
弱オピオイドトラマドール
コデイン
アヘン末
強オピオイドオキシコドン
モルヒネ
ヒドロモルフォン
フェンタニル
ブプレノルフィン
ペチジン
メサドン

ヒドロモルフォンは、モルヒネやオキシコドンと同様に強オピオイド(中等度〜高度の強さの痛みに用いる)に分類されます。

よって、オピオイドの新規導入や、他のオピオイドで効果不十分だった場合のオピオイドローテーションで使用することができます。

剤形

ヒドロモルフォンには現在、3種類の商品があります。

  • ナルサス錠(徐放製剤) 
  • ナルラピド錠(即放性製剤)
  • ナルベイン注

日本ではナルサス、ナルラピド錠は2017年6月販売開始、ナルベイン注は2018年5月販売開始となりました。

海外では1920年代から使用されている歴史のある薬です。

内服での疼痛管理

ヒドロモルフォン内服での疼痛管理を行う際には、

ベース薬にナルサス錠、レスキュー薬にナルラピド錠  を用います。

徐放製剤のナルサス錠は1日1回服用する薬です。決まった時間に毎日服用します。

即放製剤のナルラピド錠は疼痛時に服用します。1時間の間隔が空いたら次の服用ができます。

※ナルラピドの1回量はナルサスの1/4~1/6量に設定します。

ナルサス錠、ナルラピド錠の添付文書上では、4mg/日〜24mg/日を投与(適宜増減)とされています。では、ヒドロモルフォン4mgとは他のオピオイドと比較するとどのくらいの量なのでしょうか。

オピオイドの換算表を見てみましょう。

ヒドロモルフォンモルヒネ(経口)オキシコドン(経口)フェントステープトラマドール経口
4mg20mg10mg100mg
6mg30mg20mg1mg150mg
12mg60mg40mg2mg300mg
18mg90mg60mg
24mg120mg80mg4mg

ヒドロモルフォンを含めたオピオイド換算表は上のようになります。「ナルサス錠4mg/日=オキシコドン約10mg/日=モルヒネ約20mg/日」の量になります。

(ただし、表は実際の製剤の規格を考慮したものなので完全に換算比通りとなっていない部分もあります。正確な換算比は、ヒドロモルフォン経口:モルヒネ経口:オキシコドン経口=1:5:3.3 です。)

ところで、ナルサス錠は2mg , 6mg , 12mg , 24mg、ナルラピド錠は1mg , 2mg , 4mg の規格があります。添書上は4mgスタートとされていますが、規格から考えると2mgから開始することもできます。

換算比で考えると、「ヒドロモルフォン2mg=オキシコドン6.6mg=モルヒネ10mg」に当たります。それぞれの存在する規格から考えると、オキシコドンの最低用量は10mg/日、モルヒネの最低用量は20mg/日となるため、ヒドロモルフォン2mgの量よりも多くなってしまいます。

ヒドロモルフォンは他のオピオイドよりも少ない量から開始することができるのです。

まとめ

大まかな部分は他のオピオイドと変わりませんので、副作用症状もモニタリングしながら投与を行いましょう。

追加情報として、ヒドロモルフォンはグルクロン酸抱合により代謝されます。よって、腎機能低下患者でも投与量の調節は必要ありません。

また、ヒドロモルフォンはモルヒネと同様に呼吸困難症状を緩和するという報告が海外においてなされています。まだ適応としてはありませんが、今後注目ポイントでもありますね。