抗菌薬

肺結核の薬物治療まとめ

結核とは

結核とは結核菌(Mycobacterium tuberculosis)による感染症のこと。

結核の80%は肺への感染で、一般的にはこれを結核と呼んでいますが、正確には、肺結核が正しい呼び方です。

日本は高齢化の影響もあって、米国などの先進国と比較すると、結核罹患率が4〜5倍高いのです。

また、結核は空気感染するため、病院内で見つかった場合は一大事。
空気感染予防策が必要になる重要な疾患です。

結核の診断

結核は2週間以上続く咳、発熱、寝汗、体重減少、血痰のある患者で疑われます。

胸部X線で上肺野の陰影、空洞形成が出ることもありますが、非典型例が多く、画像だけでは結核は除外診断できません。

診断は、喀痰検査でおこないます。
塗抹標本にチールネルゼン染色蛍光染色といった染色を行い診断されます。

ただし、感度は50%ほどで半分は見逃すことになるので、疑われる場合は検査を繰り返します。

病院内ではよく「三連痰とっといて〜」といった言葉が飛び交っていますが、この三連痰は、結核の診断のため3回繰り返して、喀痰検査を行うことです。

結核の薬物治療

抗結核薬のグループ

結核薬は3グループに分けられます。

Aは最も強力の抗酸菌作用を持ち、治療に必須の群で、どれも殺菌的に作用します。

BはAと併用で効果が期待される群。

Cは、AやBが使えない場合のセカンドラインで使用する薬剤です。
抗菌作用はAやBには劣りますが、AやBが耐性菌や副作用で使用できない場合に使います。

標準治療

  • A法:RFP +INH +PZA +EB(orSM)2ヶ月間 → RFP +INH4ヶ月間
  • B法:RFP +INH +EB(orSM)2ヶ月間 → RFP +INH7ヶ月間

A法では、RFP +INH +PZA +EB(orSM)の4剤併用で2ヶ月間で治療後、RFP +INHの2剤で4ヶ月間治療。
最短6ヶ月で治療が終了するため、ファーストチョイスの治療法です。

B法は、肝障害のためにPZAが使えない場合に検討します。
80歳以上の高齢者では、薬剤性肝障害の可能性が高くなるため、B法を選択することがあります。

DOTS

DOTSとは、直接服薬確認治療(Directly Observed Treatment,Short-course)の略。

結核治療薬を確実に服用してもらうためにWHOが打ち出した戦略で、「医療従事者が直接患者へ薬を届けて、目の前で服用を見届けること。」です。

先ほど示した通り、結核は治療期間が6ヶ月〜9ヶ月と、とても長いです。
すると、当然、治療を自己中断してしまったり、服用が不規則になる患者もいます。

結核のコンプライアンス不良は、多剤耐性菌を招くので、これを防ぐ対策がDOTSなのです。

抗結核薬の副作用

抗結核薬ってどれも副作用が多いので注意が必要です。
今回は代表的なものをピックアップしました。

INH

肝障害、末梢神経障害、薬剤過敏症があります。

イソニアジドの末梢神経障害にはビタミンB6の予防投与が有効です。

RFP

肝障害、胃腸障害、薬剤過敏症などがあります。

胃腸障害は食後投与にすることで改善されることが多いです。

肝障害はINHとの併用で約10%ほどの患者に生じます。

SM、KM

アミノグリコシド系の副作用といえば、第8神経障害と腎障害ですね。

定期的な聴力検査と腎機能マーカーのチェックが必要です。

EB

めずらしい副作用、視力障害です。

毎月1回は視力検査を行います。

リファンピシンの相互作用に注意

リファンピシンはCYP3Aを強力に誘導します

数え切れないほど、CYPが代謝に関わる薬はありますから、例は記載しませんが、リファンピシンの内服が始まった際は必ず相互作用をチェックしましょう。

まとめ

本記事では、結核ってそもそもなんなのか。

結核の診断方法

標準的な薬物治療

抗結核薬の副作用などについての基礎知識についてまとめました。

耐性菌の場合など、特殊な例については触れていませんが、本記事で初期治療に関してはだいたい網羅できたんじゃないかなと思います。