循環器

心電図の波形の向きの意味

心電図の波形の上と下は何を表しているのか?

心電図が上方向に振れることを陽性、下方向に振れることを陰性といいます。

心電計の端子に向かってに電流が流れる場合は陽性波、端子から電流が離れていく場合は陰性波として心電図上にあらわれます。

心筋は順番に興奮するため、脱分極と再分極がそれぞれの部位ごとに時間差でおこなわれます。

この電流とベクトルの方向を記録ものが心電図です。

Wikipediaより引用

再分極のT波はなぜ上向きなのか?

心筋は1cmほど厚さがあるため、内側と外側の脱分極と再分極で若干時間差があります。

特殊心筋のプルキンエ繊維は心内膜側にあるため、心室の脱分極は内側から起こります。そのため、QRS波は上向きを示します。

ではなぜ再分極も上を示すのでしょうか?

心筋の外側に再分極に関わるKチャネルが高密度に発現しているので、活動電位の時間が内側に比べて短いからです。

そのため、心室の再分極は心筋の外側から起こり、T波は正常な心臓であれば上を向くわけです。

脱分極や再分極の時間差の必要性

心室の内膜から脱分極することはポンプ機能に大きな役割を果たします。

心筋の収縮が、内膜から起こればスムーズに心室は収縮できますが、もし、外膜から収縮してしまった場合、内膜が邪魔をしてスムーズに収縮することができません。

拡張も収縮と同様に、もし内膜から拡張してしまうと外膜が邪魔で拡張できませんから拡張不全となってしまいます。

このように内膜と外膜の再分極・脱分極のタイミングのずれには大きな意味があります。

狭心症・心筋梗塞のST波形

通常ST部分では心室筋は全て脱分極しているため、心室内での電位差はなくなり、STは基線になります。

では、狭心症で心内膜の虚血が起こった場合STはどうなるでしょうか?
その場合、内膜が脱分極ができず、マイナスの電位のままになるためSTは低下します。

つづいて、心筋梗塞での場合です。心筋梗塞では虚血部位が内膜から外膜まで脱分極ができません。これを貫壁性心筋虚血といいます。

貫璧性心筋虚血では、周囲の虚血していない部分から電流が向かってくるので、STは上向きに振れます。

まとめ

本記事では、心電図の波形の向きの意味、

心室の再分極のT波がなぜ上向きなのか、

なぜ心室は外膜と内膜で脱分極のタイミングがずれるのか、

そして虚血性心疾患ではSTがなぜ変化するのかについて解説しました。

本記事が心電図を理解する一助になれば嬉しいです。