循環器

徐脈性不整脈の分類と薬物治療

不整脈の薬って正直よくわからない方、多いと思います。

薬学部では心電図をあまり勉強しないので、多くの薬剤師が苦手意識を持っています。

今回から、できるだけ簡単に不整脈と抗不整脈薬について解説していきたいと思います。

不整脈の種類

不整脈は、徐脈性不整脈、頻脈性不整脈、期外収縮の三つに大別されます。

たった3種類です。

そこから細分されるんですけどね。。。

今回はその中の徐脈性不整脈について解説します。

脈拍の正常値っていくつ?

脈拍の正常値ってどれくらいでしょう?

いくつか定義がありますが、現在は50〜100拍/分が正常値とされています。

一般人の脈拍は60〜100拍/分がほとんどなので、昔はこれが正常値とされていました。しかし、最近、死亡率と脈拍の関係の研究が発表され50〜60拍/分がもっとも死亡率が低いことが明らかになりました。

これをうけて、もっとも死亡率が低い50〜60を正常値から外すのはおかしいだろうということで、現在は50〜100が一般的です。

徐脈性不整脈の分類

徐脈性不整脈は洞不全症候群と房室ブロックに大別されます。

そこからさらに、3つずつに細分されます。

洞不全症候群

洞不全症候群は

  • I群・・・洞徐脈
  • Ⅱ群・・・洞停止・洞房ブロック
  • III群・・・徐脈頻脈症候群

の3つのに分けられます。

洞徐脈とは心拍数が50以下の同調律のことです。同調律はサイナス(sinus)ともいい、一定のリズムでPQRSTを形成している正常の波形のことをいいます。

洞停止・洞房ブロックとは洞房結節の機能不全や、伝達の異常でP派が消失することをいいます。

徐脈頻脈症候群は心房頻拍や心房細動などの上室性頻脈後に徐脈を生じるものです。

房室ブロック

房室ブロックは

  • Ⅰ度
  • Ⅱ度
  • Ⅲ度

に細分されます。洞不全症候群は群なのに房室ブロックは度なんですね。ややこしい。

Ⅰ度は伝導遅延。つまり、房室結節で伝達が遅れているけれども途絶えることはない状態。具体的にはPQ間隔が0.2秒以上延長している状態のことです。

Ⅱ度はQRSの一部欠損。つまり、房室結節での伝達が一部途絶えて、何回かに1回は心室の収縮が起こらない状態。
 さらにⅡ度はモビッツⅡ型とウエンケバッハ型に分けられます。
モビッツⅡ型はPQ間隔は不変で突然QRSの欠損が起こるのに対して、ウエンケバッハ型はPQ間隔が徐々に延長し、QRSの欠損が起きます。

Ⅲ度は完全房室ブロック。これは、心房の興奮が全く心室に伝わらず、P波とQRS波がまったく独立して現れている状態のことです。

徐脈性不整脈の薬物治療

徐脈性不整脈の治療の前提として以下二つを押さえておいてください。

  • 無症状の場合は治療適応とならない
  • 有症状の場合はペースメーカーが第一選択となる

つまり、徐脈性不整脈において薬の使用場面はかなり限られるということ。
これを踏まえて各薬剤について解説します。

アトロピン

原因が副交感神経にある場合の徐脈の場合に使用されます。

洞房結節の興奮頻度を増加させるため、心房のレートが上昇します。

房室結節内の伝導を改善するため、房室ブロックにも有効です。

交感神経作動薬

ペースメーカー植込みまでの一時的治療として、アトロピンが無効な場合に使用します。

イソプロテレノール、アドレナリン、ドパミンなどが選択肢にあがります。

テオフィリン

テオフィリンは、ホスホジエステラーゼの阻害および、アデノシン受容体の遮断の作用機序を持ちます。

ホスホジエステラーゼの遮断は、cAMP濃度の上昇を介して徐脈を改善。

アデノシンはアデノシン受容体を介してアセチルコリン感受性Kチャネルを活性化し、洞房結節や房室結節の活動を抑制するため、アデノシン受容体の遮断は徐脈の改善に働きます。

日本循環器学会の不整脈薬物治療ガイドラインでは以下2つの場面でテオフィリンの使用が推奨されています。

  • ペースメーカ植込み術を施行できない洞不全症候群・房室ブロック
  • 下壁心筋梗塞の急性期・亜急性期に出現したアトロピン抵抗性の房室ブロック

アデノシンは心筋の虚血代謝産物なので、下壁心筋梗塞の房室ブロックに有効です。アトロピン無効の場合に試すと復帰することがあります。

シロスタゾール

テオフィリンと同様、ホスホジエステラーゼを阻害します。

シロスタゾールは抗血小板薬に分類されていますが、cAMPを介して血管拡張、抗血小板作用を発揮します。

また、洞結節のCaチャネルを活性化するため陽性変時作用を示します。

まとめ

  • 不整脈は、徐脈不整脈、頻脈不整脈、期外収縮に分けられる。
  • 脈拍の正常値は50〜100拍/分
  • 徐脈性不整脈は洞不全症候群と房室ブロックに分けられる。
  • 洞不全症候群は1群から3群まで分けられる。
  • 房室ブロックは1度から3度まで分けられる。
  • 徐脈における薬物治療の場面は限られる。
  • 徐脈に使われる薬はアトロピン、テオフィリン、シロスタゾール、交感神経刺激薬。