抗菌薬

【抗菌薬】抗MRSA薬バンコマイシンの基本

抗菌薬の基本中の基本の薬だけど注意点が多く、使い方が難しいバンコマイシン。

今回はその基礎知識について新人薬剤師、看護師向けに解説していきたいと思います。

バンコマイシンの作用機序

バンコマイシンは細菌の細胞壁に結合して、合成を阻害します。

細胞壁が壊れると細胞質内に水が一気に流入し、細胞が内部からの圧力に耐えられなくなり、破裂します。

細菌は細胞壁がなければ生きていくことができません。

基本情報

適応菌種

  1. メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)
  2. メチシリン耐性コアグラーゼ陰性球菌(CNS)
  3. ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)

適応菌種は上記の3つになっていますが、実際のスペクトルは一部例外を除いてほとんど全てのグラム陽性球菌にスペクトラムがあります。

適応症

敗血症、感染性心内膜炎、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、骨髄炎、関節炎、肺炎、肺膿瘍、膿胸、腹膜炎、化膿性髄膜炎、発熱性好中球減少症

バンコマイシンは組織移行がかなり良いので適応症も幅広くなっています。

投与速度

添付文書には「60分以上かけて点滴静脈注すること。」との記載があります。

もう少し細かく言うと、、、VCM500mgあたり30分以上かけて投与する必要があります。

実際には、、、

  • VCM1000mg以下 → 1時間かけて投与
  • VCM1001mg以上 → 2時間かけて投与

で設定している施設が多いのではないかと思います。

ワンショットや短い時間で投与するとヒスタミンが遊離されてレッドネック症候群(顔、頸、躯幹の紅斑性充血、そう痒感)、という重篤な副作用が起こる可能性があるため注意が必要です。

用量

腎機能ごとのバンコマイシンの用量の一例です

Ccr 50~80ml/min → 1000mg 12時間毎

Ccr 10~50ml/min → 500~1000mg 24時間毎

Ccr 10ml/min以下 → 500mg 24時間毎

上記はあくまで目安です。
実際には、腎機能や体格を考慮して投与する望ましく、ほとんどの施設でコンピューターソフトを用いてTDMを行ってから用量決定を行っているのが現状かと思います。

調整方法

VCM500mgあたり最低50mL以上の補液で希釈

具体的には、、、

  • VCM1000mg未満 → 生理食塩水100mL
  • VCM1001mg以上 → 生理食塩水250mL

で統一している施設が多いのではないかと思います。

薬液の濃度が濃いと血栓性静脈炎のリスクになるため濃度には注意が必要。

副作用

バンコマイシンの副作用の中でもとくに重要な5つをピックアップしました。

  • アナフィラキシーショック
  • 急性腎障害
  • 汎血球減少
  • 中毒性表皮壊死融解症(TEN)
  • 第8脳神経障害

この中でも、急性腎障害と第8脳神経障害はバンコマイシンの用量依存的に現れやすくなるため、血中濃度のモニタリングが重要です。

ちなみに第8脳神経は聴力に影響する神経なので障害すると、めまい、耳鳴り、聴力低下などの症状が現れます。

相互作用

全身麻酔

チオペンタールなどの全身麻酔薬との同時投与でアナフィラキシーを起こすことがある。

全身麻酔の開始1時間前までにはバンコマイシンの投与は終了しておく必要があります。

腎毒性・聴器毒性を持つ薬剤

アミノグリコシド、白金製剤、などの腎毒性、聴器毒性をもつ薬剤はバンコマイシンの副作用を増強するおそれがあるため、併用は避ける必要があります、

TDMについて

TDMとは?

バンコマイシンは有効血中濃度と副作用域が近い薬物のため、TDMの実施が求められています。

TDMとはTherapeutic Drug Monitoringの略で、『薬物血中濃度モニタリング』のことを意味します。

実際に採血して薬の血中濃度を測り、コンピューターでシュミレーションソフトを用いて、患者ごと個別に投与量の設定をおこないます。

血中濃度の基準値は?

バンコマイシンはトラフ値が20μg/mL以上の状態が続くと、腎障害、聴力障害が出やすいとされています。

また、十分に抗菌作用を発揮するには10μg/mL以上の血中濃度が必要とされています。

まとめると、バンコマイシンのトラフ値は、

より安全に使いたい場合10〜15μg/mL
よりクリティカルに効かせたい場合15〜20μg/mL

に設定します。

採血のタイミングは?

トラフ値がバンコマイシンにおいて重要なのはもうわかりましたね?

じゃあ、トラフ値って結局なんなのか。
それは、バンコマイシンの投与直前の血中濃度のことです!

つまり、採血は必ずバンコマイシンの投与直前に行う必要があります。
間違っても投与直後に採血しないように、、、

まとめ

  • 作用機序は細胞壁の合成阻害
  • スペクトラムはグラム陽性菌ほとんど全てにある。
  • 組織移行はかなり良く適応症も広い。
  • 投与時間は500mgあたり30分以上かけて
  • 500mgあたり補液50mLで希釈する。
  • 副作用は腎障害と第8脳神経障害に注意。
  • トラフは10〜20μg/mLが基準値。
  • 採血は必ずバンコマイシンの投与直前におこなう。

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